由来案内・法華経寺四足門

法華経寺祖師門の裏山に目立たない四足門がある。
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四足門はもと鎌倉の愛染堂(あいぜんどう)にあったものをこの地に移したと伝えられています。法華経寺では、はじめ本院(ほんいん)の玄関文句としていましたが、明治になって法華堂前の現在の場所に移されました。建築年代は形式より室町時代後期と思われます。
この門はほぼ純粋な禅宗様(ぜんしゅうよう)の様式で造られ、本柱(ほんばしら)を棟(むね)近くまで延ばし、この前後に控柱(ひかえばしら)を立てて、これらを海老虹梁(えびこうりょう)という湾曲(わんきょく)した腰の強い梁(はり)で繋(つな)ぐ珍しい構造です。柱の断面はやや楕円形でこれも他に例のないものです。
さらに彫刻類の装飾が多いことも特徴のひとつで、それぞれ室町時代後期に多くみれれる文様(もんよう)や形をよく現しています。これらの装飾は全て正面を意識して造られていることから、もとは側面の両側に塀(へい)を付属させた入口門(いりぐちもん)であったと考えられます。また建具は和様(わよう)の板唐戸(いたからど)を用いて様式的な変化を持たせています。柱、虹梁(こうりょう)(梁の一種)など主要な部材には欅(けやき)、その他の部分には檜(ひのき)・杉・桜などを用いています。
昭和十年に解体修理が行われ、大部分の部材が新しいものと取り替えられましたが、使用可能なものは文化財の保存の意味から再用しています。

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四足門は「よつあしもん」とも読み、2本の親柱の前後に各2本、計4本の控柱を設けた門を言う。
祖師門の裏にひっそり建っているので見落しそうであり、それにくぐれないようになっているが、あまり見かけないものではあると思う。