随筆・地元でランチ

定年になって2年ほど過ぎたころから、地元のランチを食べ歩いてみようと思いたった。時間が有り余っていたし散歩をよくしていたので、ついでにという思いつきもあった。
ランチといっても店はたくさんある。多いのは中華系かもしれない。いわゆる町中華というのは少なくなってしまったように感じる。カツテ家の近所に「かっぱ」という40年以上続くというお気に入りの店があったがなくなってしまった。それで何軒かのぞいたが、昔ながらの味にはついに出会えていない。
洋食屋というのが見当たらない。唯一某店に二度ほど行ってみた。最初はスパゲッティミートソース、二度目はとんかつにしてみたが、どちらも量が多いばかりでこれといった味わいが感じられない。
イタ飯屋というのは結構ある。ランチといってもせいぜい飲み物だけを足すところと、パンや生野菜にコーヒーなどを加える店もある。スパゲッティにピザも並行して売り物にしている店もあり、客層を広げている。だがこれらも都心の店とは違って優れたシェフにはお目にかかれない。
ここ小岩では居酒屋がランチをやっている店は多くはない。夜のつまみの仕入れとともに食材を仕入れる店が多いと聞くが、最近は夜飲みに来る客自体が激減しているようで、安いランチにも力が入らないようだ。
寿司屋も減ってきたとはいえ数軒ある。これも都心には及ばない店が多い。一軒、500円でランチを提供する店があって唯一気に入っている。さすがにこの値段の店は都心にないだろう。たまにビール小瓶を供にして1000円札でお釣りがくるというのも楽しみだ。
食事といえば昔ながらの定食屋というのも知る限り2軒ある。一軒は500円の日替り定食が売りのようだが、味はいただけない。もう一軒は670円の日替りランチとその他の定食も700円くらいからある。こちらは小鉢2品を5種から選べるというシステムで味もよく、週に1度は顔を出す。
いずれにしてもこの地元では残念ながらあまりいいランチに巡りあえていない。もしかしたら長年の都心サラリーマンは知らずに多少舌が贅沢になっているのか、などと反省してみたりもする日々である。