随筆・なんでらの人々

先日「なんでら」会の面々と一杯飲んだ。病気を考慮して我が地元の中華居酒屋に集まってくれるという何ともありがたい配慮だ。
後輩の男二人と女二人というのが中核メンバーで、この日も4人がばらばら集まってきた。職場の仲間ということもあり、話の大部分は仕事に関してだ。引退した自分としては口を出すことも殆んどないし、それ以前に仕事のことはすっかり忘れていて、聞き役でいいとも思っている。
それが、この日は何故か少しだけ自分の病状の話になってしまった。やむを得ないので、食欲がなく抗がん剤が打てなくなったので、この集まりも最後になるかなと言ったら、それよりまた来ると言われた。自分も含めて誰も命の終わりなどという実感は持てないのだ。
実際、食欲がないことは例えばそれで動けなくなるとしてそれがいつ頃訪れるのかといった見当さえつかない。だから次が有るとも無いとも言いようがない。
それで最後は「じゃあ、また」ということで別れた。まあ、また本当に会えるかはともかく、これはこれで妥当な解決方法だった気はしている。