病気・がん用語入門(2)

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(2)「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」

腫瘍には、子宮筋腫のように、できた場所に留まり大きくなるだけの「良性腫瘍」がある。これは「自律性増殖」といい、がん細胞がヒトの正常な新陳代謝の都合を考えず、自律的に勝手に増殖を続け止まらないのである。

だが、脳腫瘍のように発生部位によっては重篤になるものもある。「悪性腫瘍」は「自律性増殖」に加えて、周囲に広まったり(浸潤)、離れたところに飛び散る(転位)とともに、がん組織が他の正常組織の摂取しようとする栄養を奪うため体が衰弱する(悪液質(あくえきしつ))。これらの性質をもつものががんである。

なお、発がんの機構は多段階であって、「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」の境界線が明確になっているわけではない。例えば大腸ポリープは数ミリであれば腺腫で、そのまま推移すれば概ね良性であるが、数センチを超えると腺癌細胞が現れ大腸癌化する可能性がかなり高くなる。しかし、がんの細胞分化に関しては未解明の部分が多く、良性腫瘍が前がんの状態と見る考えに対する異論もある。