随筆・寺田寅彦の随筆の面白さ

ずいぶん若い頃から一度、寺田寅彦の随筆集を読んでおきたいと思っていながら、ついに定年退職を迎えてしまった。時間ができて青空文庫に多くが収録されているのを見て、毎日1・2編続つ読むのが楽しみの一つになっている。
その魅力については、寺田の目があらゆるものを常に科学の目で見ている点や、夏目漱石の弟子を自認するだけの表現力などにある。たまたま青空文庫和辻哲郎寺田寅彦」(昭和11年)の短文を見つけ、なるほど適当と思われるので書いておく。
和辻は寺田の探究心を「自然現象、文化現象のいっさいにわたる表現者」であり、「随筆はこの探究の記録」と指摘。「我々はそれほどの不思議、それほどの意味を持ったものに日常触れていながら、それを全然感得しないでいた」のであり寺田は「この色盲、不感症を療治」してくれるのであると結んでいる。
機会があれば読んでいただければ。