映画雑感・雨に唱えば

「雨に唱えば」は、サイレント(無声)映画がトーキー(発声)映画に切り替わる際のエピソードを、ジーン・ケリー主演のコメディーに仕立てたミュージカル映画の傑作である。
主題歌「Singin’ in the Rain」を、土砂降りの雨の中でジーン・ケリーが唄い踊るシーンが強く印象に残るが、この場面を含めてタップダンスの見事さを堪能できるのが大きな特徴だ。ジーン・ケリードナルド・オコナーデビー・レイノルズの3人の組合せによるタップダンスのシーンは、いずれも抜群のテクニックと表現力を発揮しており、これを見ると思わずップダンスを活かしたほかの映画を探してみたくなる。
ストーリーは「ジャズ・シンガー」という、1927年に実際に作られた世界初のトーキーによる長編映画の制作・公開過程を巡るもので、当時の映画会社と俳優との力関係など、映画史の一端を知る上でも興味深い。
(鑑賞メディア:AmazonPrimeVideo 字幕版)