病気・痛風

痛風は、高尿酸血症によって結晶化した尿酸が足の関節などにたまり、やがて結晶化して足指の関節、足の親指の付け根、くるぶし、かかと、足の甲、アキレス腱、手首やひじなどにたまり、関節内の滑膜とよばれる部分などを傷つけて非常な痛みを引き起こす炎症を起こす病気である。

症状
痛風による痛み(痛風発作)が起きると、同時に患部には腫れや赤みが起こり熱を持つ。
痛みは激烈だが、1〜2週間たつと治まり、痛みは完全に引く。しかし治ったと思って放置すると痛みが再発し、人により期間はまちまちだが痛風発作が繰返されるようになる。
発作が慢性化するとやがて関節そのものが変形して曲げにくくなってしまったり、尿酸値がさらに高くなることによって腎臓にも障害が起きたりすることがある。

尿酸の基準値
尿酸値は7.0mg/dl以上になると高尿酸血症、8.0mg/dlもしくは9.0mg/dl以上になると腎臓病や糖尿病などといった合併症が考えられ、薬物治療が推奨される。

予防
高尿酸血症および痛風を予防するためには、プリン体が多く含まれている以下のような食品をなるべく避ける必要がある。
・干ししいたけ
・動物の内臓
・魚の干物(特に煮干し)
・エビ
あんこうの肝
プリン体の含有量が多い食品の中には、一般に栄養豊富で健康に良いとされるものも含まれているので注意する必要がある。プリン体はどんな食品にも含まれている関係上、プリン体のみを減らすことは難しい。
また、アルコール(特にビール)はそれ自体に尿酸値を高める作用があり、さらに利尿作用で尿酸を濃縮する働きもある。加えて酒のつまみにはプリン体が多く含まれている食品が多いため、アルコールを多く摂取すると高尿酸血症および痛風になるリスクは更に高まる。

【余談】
痛風はもともと西欧に特有の病気であり、日本には存在しないと考えられていた。明治時代に来日し、日本の近代西洋医学の発展に尽くしたエルンスト・フォン・ベルツ(1849~1913)は、「日本に痛風はない」と記録している。
日本人はもともと粗食でプリン体が多く含まれている食品を口にする機会は庶民にはほとんどなかったが、戦後の高度経済成長のころ食事情に変化が訪れ、経済の発展とともに食生活が急速に欧米化して、高脂肪・高たんぱく・高プリン体の食品を庶民も日常的に口にするようになった。
このため、痛風は「ぜいたく病」とも呼ばれ、豪奢な食生活をしている人がかかる病気であるという認識がいまだ残っているが、現代においてはごく普通の人であってもかかる可能性のある病気である。