由来案内・旧安田庭園の水門跡

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両国にある旧安田庭園は、安田財閥の祖である安田善次郎東京市に寄贈したのを、墨田区が管理を引き継いで一般に無料公開している。ここで江戸時代に造られたという水門が見られる。

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江戸時代にこの庭園が造成された折、隅田川から水を引き込み。潮の干満によって池の水位を上下させ、それとともに見え隠れする岩や護岸、浮沈する島等の景観変化を楽しむという技法がとられました。これは「潮入」というものです。
この水門は、潮入池の水位調整のために造られたものでしたが、昭和三十年代までの隅田川の水質環境の悪化や、出水対策のための堤防補強に伴って、昭和四十年頃には閉じられ、導水溝も埋められてしまいました。
潮入の池は、都内ではほかに浜離宮庭園や旧芝離宮庭園、清澄庭園などでも採り入れられていましたが、現在も目にすることができるのは、浜離宮のみとなりました。
墨田区では、潮入の再現を図るため、昭和四十六年に本園北側に約七百五十平方メートルの貯水槽(貯水量約八百トン)を地下に造り、池と貯水槽に水を移動させることにより、人工的に干満を表現する潮入を再現しました。
本園の水門は、現在では当初の機能を失ってはいますが、往時の姿をとどめる遺溝として現状のまま保存されています。
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水門自体は見てどうというものではないが、由来書きによって回遊式庭園の構造の一端を知ることができるのは興味ある人には参考となろう。